韓国オープン後半戦。伊藤美誠vs王曼昱の宿敵対決はあらたなフェイズに
7月6日
伊藤美誠0-4王曼昱。
為す術なしの完敗。序盤はほとんどラリーにならない、小刀の切っ先勝負。一撃必殺の展開の中、得意のサーブとレシーブで先手を取れないのでは苦しい。
ワンマンユがバックの深いところを執拗に突いて、美誠ちゃんのバックミートを封じつつ、フォアの対角線へ厳しいドライブを叩き込む。
かつてフットワークに課題があった頃の伊藤美誠攻略法を、一段と高いレベルで実行するワンの技術の高さ。美誠ちゃんもバック攻めを読んで強打していくが、なかなか入らない。一球一球のボールが伸びるのも、ミスを連発する理由か。
途中、立ち位置に悩む仕草も見受けられ、下がりたくはなかったけど下がるしかなかった感じ。試合序盤にロングサーブをミスして、それを使いづらくなったのも痛かった。
某スポーツニュースでは、3ゲーム取られた後に松崎コーチが「ラリー勝負に持っていったほうがいい」とアドバイスしたかのようなナレーションになっていたが、映像を確認したら、それは2ゲーム目を終えた後のタイミングだった。
これ以降、ラリーに持っていこうとして下がってみたものの、3ゲームは4-11。状況は好転せず。4ゲームはだいぶラリーもあったが、ずっと守勢のままだった。
大丈夫。これでまた大魔王は強くなる。王曼昱との試合は、伊藤美誠ヒストリーの中でいつもターニングポイントになるからだ。
●2019韓国オープン結果
1回戦
伊藤美誠4-1相馬夢乃
平野美宇4-0リホチン
準々決勝
伊藤美誠0-4王曼昱
優勝/チェン・モン陳夢(中国)
伊藤美誠ベスト8。獲得ポイント900
平野美宇ベスト16。獲得ポイント720
本当は石川佳純3-4孫穎莎の試合も見て、感想をアップ予定だったけど、もう次のオーストラリアオープンが始まってしまったので、間に合わず。それは先延ばし。
韓国オープン前半戦。早田ひな、伊藤美誠、平野美宇の明暗
卓球の試合を見るときはなるべくメモを取りながら、素人なりに背伸びして技術論なども(的外れを承知の上で)書き留めておくのですが、せっかくだから韓国オープンの2日分を公開してみます。
自分用のメモなので、偉そうなのはお許しを。一部はツイートの再録です。
7月4日。
チョンジヒ4-1加藤美優。
チョンジヒのプレーが速くなっているのに驚き。あの年齢ですべてのプレーをワンテンポ速くするのは、かなりの練習を必要とするだろうに。かとみゆが翻弄されて何本もノータッチをくらい、中国選手以外に圧倒されるのは久しぶりに見た。
3ゲーム目から加藤美優が少しだけ下がって速さに対抗し、ペースを取り戻したかに見えたが、最後まで先手を取られて押し切られた。
早田ひな2-4劉詩文。
高速ラリーは互角以上の打ち合いを見せて、早田ひなが運動能力の高さを示すも、ゲームカウント2-2の後、第5、6ゲームは巧みにゆるい球、短い球を混ぜながら左右に振り、早田の打ちミスを誘う劉詩文。レシーブは横回転を入れている?
その戦術転換に、早田がミスを連発して最後は自滅したような形。試合序盤に気持ちよく打たせてもらいすぎた分、途中から急に入らなくなると、修正が利きにくいのかも知れない。さすがは百戦錬磨の世界女王、熟練のハメ手。
でも、2ゲーム終盤のスーパープレーの応酬は見応えがあった!
7月5日。
伊藤美誠4-0佐藤瞳。
見ているのが気の毒になるくらい、一方的な試合。美誠ちゃんのカット打ちのうまさは定評のあるところだが、それ以前に、見下ろして試合をしている印象。
ふいに2014年の世界ジュニアを思い出した。団体決勝の中国戦に出たのは、伊藤美誠、佐藤瞳、平野美宇の3人。
平野美宇2-4陳夢。
自らの試練と成長のため、陳夢にあっというまに3ゲームを与えてから、やっと本格的な試合を始める平野美宇選手……と、言いたくなるくらいスロースターターの美宇ちゃん。入らないフォアクリックやチキータを繰り返し、肝心のバックドライブもオーバーが目立つ。陳夢の回転量が多いのか。
第4ゲームからは突然別人になり、2ゲームを取り返す。新しいサーブ(?)も効きまくる。これで2-3。
第6ゲームは陳夢も1球ごとに立ち位置を変えて、新しいサーブを出し始める。両者ともサーブ時の得点率が高く、ここにきてサーブ勝負のような展開。
しかしこうなると、先に別サーブの引き出しを開けていた平野美宇が、苦しくなる。7-5とリードするも、タオルタイムを挟むと最後は一気にいかれて8-11。
もったいない試合も、収穫はあった。次は勝てる!
T2ダイヤモンドに伊藤美誠、平野美宇のほか、石川佳純と加藤美優も!
なんと今日、驚きのニュースが!
7月18-21日のT2ダイヤモンド第1戦への派遣選手が発表され、出場が確定していた伊藤美誠、平野美宇のほかに、石川佳純と加藤美優の名前がある!
おそらく上位の中国選手から辞退者が出て、繰り上がったと思われますが、T2ダイヤモンドのポイントは東京五輪の代表争いでもエキストラ・ポイントとして扱われるため、出場するだけで有利になる。つまり、みうみまの2人が有利な立場になるはずだったところ、石川佳純も同等のポイントを得る資格を与えられ、この3人に関しては互角の条件になった。
石川佳純さんのファンは胸をなでおろしたのではないでしょうか。今年に入ってからの石川佳純はドロー運が悪く、香港オープンでは1回戦で中国のワン・イーディに当たって敗退。そのワン・イーディは結果的に優勝。
ジャパンオープンでも1回戦で中国のスン・インシャに当たって敗退。そしてやはりスン・インシャが優勝。2大会続けて、よりによって初戦で優勝者にぶつかってしまった。
運の良さ・悪さは、プラスマイナスでいつかゼロになると言われます。卓球のエッジボールやネットインも、両者に幸運なボールと不運なボールがあり、トータルすると差し引きゼロになると言われる。
石川佳純の今年のドロー運の悪さを思えば、ここでT2の出場資格を得るくらいの幸運も、ないとやってられないのかも知れない。
一方、平野美宇は17年後半に1回戦で中国選手に当たりまくり、敗戦を繰り返してスランプに陥った。その揺り戻しとして、今年のドロー運の良さが来ているのかも知れない。そんなことを考えました。
以下、ジャパンオープンの結果をまとめておきます。
●2019ジャパンオープン結果
1回戦
平野美宇4-1蘇慧音スー・ウェイヤン・ミニー(香港)
伊藤美誠2-4グ・ユティン(中国)
2回戦
平野美宇4-1長崎美柚
3回戦
平野美宇4-0佐藤瞳
準決勝
平野美宇0-4リウ・シーウェン劉詩文(中国)
優勝/スン・インシャ孫穎莎(中国)
平野美宇ベスト4。獲得ポイント1465。
伊藤美誠ベスト32。獲得ポイント675。
最後に今年のジャパンオープン最高の試合として、佐藤瞳vsディン・ニン戦の動画を。
LIVEストリーミングのなかった長崎美柚vs朱雨玲ジュ・ユーリン戦も。
最強カットマンを倒した平野美宇と丁寧の違い
平野美宇がジャパンオープンで快進撃を続けている中、ブログを更新しないようでは、自称みうみま研究家を名乗れない。少しづつでも書く癖をつけよう。
今日は準々決勝で佐藤瞳を4-0のストレートで下してベスト4進出! これで世界ランキング用のポイントも最低1465ポイント獲得して、世界選手権の1500ポイントに迫る大きな得点。まだ気は早いが、東京五輪の代表に半歩近づいた。
佐藤瞳との一戦について。
WEBの記事を読むと「カットマンの弱点であるミドルを攻めた平野美宇の攻撃が有効だった」ふうの記述が多いけど、昨日の丁寧(ディンニン)だってずっと、しつこいくらいに佐藤瞳のミドルを攻めていた。
ふたりの違いは、丁寧は佐藤瞳が下がった状態でミドルを打ち続けたのに対して、美宇ちゃんは佐藤瞳をツッツキで前に寄せてからミドルを攻めたこと。ここが良かった。前後の揺さぶりが効いた。
今日はとりあえず、それだけ書ければ満足です。
最終日、準決勝の相手は劉詩文(リウ・シーウェン)。
平野美宇は子供の頃、劉詩文に憧れて「平美文」と名乗っていたという。これは「ヒラ・ビブン」なのか、「ピン・ミーウェン」なのか。憧れの選手に初勝利をめざせ!
香港オープンを終えて美宇美誠に大きな収穫
6月9日の日曜日。伊藤美誠の香港オープン決勝戦は、ワン・イーディに0-4のストレート負け。この敗戦に全身の力が抜けて、寝落ちしてしまい、張本智和くんの決勝戦は見逃した。
ぼくは睡眠障害を持っていて、今は一時期ほどひどい症状ではなくなったが、毎年、梅雨どきには睡眠を自分でコントロールできなくなる。過眠症というやつだ。
ひたすら眠くて眠くて起きていられない日もあれば、感情がマイナス方向へ動くことによって、眠りの沼へ落ちてしまう日もある。蟻地獄にとらえられた小さなアリのように、あがいても抗えず、強制的に眠りの沼へ引きずり込まれる。
昨日はこれだった。不安定な気圧と、みうみまの試合結果が、時々ぼくの体内時計をおかしくする。
なんてことを白状すると、うわー、やべえメンヘラーだ、触らないほうがいい犯罪者予備軍だー、という反応が返ってくるのだろうか。普段は正常な、ただの卓球好きなんだけど。
香港オープンについて、振り返ってみよう。
●6月7日、平野美宇4-1フォン・ティエンウェイ。
シンガポールのエースを下して準決勝、進出! 最後のスーパーラリーの1点は、平野美宇の成長が凝縮されたような得点だった。フィジカルの鍛錬によって軸がブレなくなり、身体の向きは一定のまま、フォアの強打を腰のひねりで左右に打ち分けているため、相手は打球方向がわからない。
途中、フォンさんがサーブの回転を変えてきて(横回転中心から下回転を混ぜてきた?)とまどう場面もあったが、辛抱強く粘って平静を取り戻した。
●6月8日、伊藤美誠4-2平野美宇。
伊藤美誠vs平野美宇の準決勝は、ふたりの対戦でこんなストップやツッツキの応酬は初めて見たぞという台上の駆け引きと、サーブ&レシーブ合戦が勝敗を分けた試合だった。でも、スポーツニュースのダイジェスト映像では、それほど多くなかったラリーが取り上げられてしまうという、そこじゃない感もあり。
美宇ちゃんは高速卓球を封印して戦い、というより美誠ちゃんが相手の持ち味を封じた戦いに持っていこうとしたことに敢えて逆らわず、〝ニュー・ヒラノの粘り強い卓球〟をやってみせた。これが今大会を通じて目立った平野美宇の新しい一面だ。
セットカウント0-3になった後、美宇ちゃんの開き直りでハリケーンの扉が半分開き、2-3まで巻き返したが、そこでまた美誠ちゃんが多彩なサーブを駆使して扉を閉め、2-4で締めくくった。そんな試合だった。
●2019香港オープン結果
1回戦
平野美宇4-1マテロバ・ハナ(チェコ)
伊藤美誠4-0ユ・モンユ(シンガポール)
2回戦
平野美宇4-0フォン・ヤーラン(中国)
伊藤美誠4-0スン・ミンギャン(中国)
3回戦
平野美宇4-1フォン・ティエンウェイ(シンガポール)
伊藤美誠4-1ポルカノバ・ソフィア(オーストリア)
みうみま小説@香港オープン
みうみまの2ショットを見るだけで、なぜこんなにも幸せな気持ちになれるのか。なぜ、だらしなく頬がゆるんでしまうのか。
2019香港オープンであらためて思う。
ドロー会場における、みうみまが仲良くピースサインを掲げる2ショット写真。メディア向けのセレモニーで、美宇ちゃんが美誠ちゃんの手を取りながらいちゃつきあう動画。
何度見ても、顔面の各部位の弛緩を抑えられず、表情筋を正常に保つことができない。
キモい独白を書いているのは自覚している。しかし、もうそんなのは気にしない。キモくて結構、コケコッコーだ。
ぼくは今、みうみまの二人を心の支えにしながら、日々を生きている。一進一退を繰り返す病気の妻を抱え、もう何年ものあいだ、平野美宇と伊藤美誠という二人の卓球選手を応援することで、力をもらっている。それを隠さないことにした。その記録を小説もどきの形にして、残すことに決めた。
この「ぼく」という、少々気恥ずかしい第一人称の表記も、そのためだ。自分をさらけ出すのはハズい。勇気がいる。でも、フィクションの体裁で「ぼく」という別人格のキャラクターを立てれば、書けそうな気がする。だからここに記す内容には、ところどころにフィクションが混じるかも知れない。
現在開催中の香港オープン。2019年6月7日現在、平野美宇も、伊藤美誠も、快勝と呼べる勝ち方で中国選手を倒し、ふたり揃ってベスト8に進出している。あとひとつ勝てば、準決勝では両者が激突する。
正直、見たいような見たくないような対戦ではあるけれど、ベスト4まで勝ち上がれるのなら、東京五輪の代表争いの上でも間違いなくプラスであり、喜ぶべきことだ。この香港オープンはあとから振り返ったときに、とても大事な大会だったと気付くような、ターニングポイントになりそうな予感がしている。
とりあえず今回は久々の更新。再始動のラボールは前陣つんのめりになりすぎないよう、このくらいにしておこう。
あ、そうそう。オープニング・セレモニーの「いちゃつき合う、みうみま」の映像。
あれは「しばらく愛人宅に入り浸っていた夫が、本妻のところへ戻ってきて、妻が喜んでいる幸せな図」にしか見えない。愛人がひなちゃんで、夫が美誠ちゃん、本妻が美宇ちゃんだ。
進化した石川佳純、中国3選手を撃破!
久しぶりに更新します。今後はちょっとしたメモ程度でも書いていければと思います。
2017スウェーデンオープン。石川佳純が中国選手を2人撃破してベスト4に進出しました。ドイツオープンのウーヤン撃破に続き、この1ヶ月で中国選手に3勝。じっくり時間をかけて作り上げたニューかすみんの進化形です。
この1年ほど、さかのぼればリオ五輪の前から、石川佳純はバックハンドの強化を目標に掲げ、実戦でもそれを見せてくれていました。
高速でリズミカル、しかし悪く言えば当てるだけだったブロックのバックハンドを、振り切るバックハンドへ。
バックでリズムを作り、得意のフォアハンドで決める得点パターンから、バックのラリーの中だけでも決められる、ウイニングショットとしてのバックドライブの磨き上げ。守りのバックハンドから、攻めのバックハンドへの改革です。
しかし、これはそう簡単に身につくプレースタイルではありません。事実、石川佳純もあれこれと試行錯誤が見られました。
ラケットを変えたり、ラバーを変えたり、大会によってはバックハンドにこだわりすぎて、本来の武器であるはずのフォアハンドを振る回数まで減ってしまった。
10月のワールドカップで、長年のお得意先だったリホチンに負けてしまったのも、この副作用でしょう。バックハンドの強化・変革を試行錯誤するあまり、フォアハンドとのバランスを取り損なっていた。
それがようやくここにきて、適切なバランスを見つけた、探し当てた、身につけた。随所で鋭いバックドライブを振り切りつつ、最大の武器のフォアの回り込みも活かす。
スウェーデンオープンでの、リ・シャオダン李暁丹、グ・ユティン顧玉亭の連続撃破の試合は、この両ハンドの絶妙なバランスのプレースタイルを見せてくれました。
石川佳純の快進撃は、突然の覚醒などではなく、先月のリホチン戦の敗戦も、とても意味のある負けだった。
ただし、準決勝の丁寧戦はうまくいきませんでした。0-4のストレート負け。
いいプレーも多数あり、これまでより差が詰まった印象を与えてはくれましたが、それまでの2戦に比べると、当てるだけのバックブロックが多くなっていた。
この違いはおそらく、丁寧の能力・戦術によるものなのでしょう。石川佳純にバックを振らせない。バックをブロックにしか使わせない。
バックのラリーの中で、瞬時にリズムを変えて緩急を入れてくる丁寧の技術の前では、まだ気持ちよくバックドライブを振り切るところまでは来ていなかった。
素人が上から目線でわかったふうのことを書いている恐れは大いにありますが、私の目にはそう映りました。全然違うぞという人がいたら、ぜひご教授をお願いします。
時間の余裕があれば詳細なスコアを掲載して、石川佳純の得点パターンの変化を検証してみたいのですが、それを言い出すとまた半年くらい更新が滞りそうなので。