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卓球世界ランク、キャッチフレーズ付き(女子)

4位 石川佳純 攻撃三球 気合肩露出
8位 伊藤美誠 前陣蝿叩 強気毛心臓
9位 平野美宇 言語天然 高速臍強打
18位 佐藤瞳  促進歓迎 大物喰守備
22位 早田ひな 右膝心配 日本的丁寧
23位 浜本由惟 長身豪打 談話不安定
24位 石垣優香 守備堅実 若手壁存在
27位 森薗美咲 佳純親友 電影出演望
30位 森さくら 叫声怪鳥 大阪的女子

 2017年3月の最新世界ランキングを、短評入りで紹介してみようと思い立ち、やってるうちに何故か漢字で統一したくなり、こんな感じになりました。
 まずい。選手の目に触れたら怒られそうなものが混じっているかも。一応、愛を込めて花束とともに付けたつもりではありますが。

 せっかくだから日本選手以外のトップテン・ランカーも付けてみました。こっちは一部、愛がないから、もっと怒られそう。

1位 丁寧  中身男性 座込初球怖 
2位 朱雨玲 超級首位 細目中国婦
3位 馮天薇 星国主力 最近髪型変 
4位 石川佳純 全農左腕 昔眼鏡可憐
5位 鄭怡静 小籠包国 男装台湾女
6位 ハンイン 角球得意 守備型独母 
7位 陳夢  朱同世代 写真稀美女
8位 伊藤美誠 広額全開 手首技器用 
9位 平野美宇 前髪大事 五輪落飛躍 
10位 杜凱栞 名前連呼 香港若手娘
10位 武楊  日本難敵 狐似守備人

 10位の杜凱栞(ド・ホイケム)は説明しないと意味がわかりません。得点した時にいつも「ホイ!」と声を出すから、なるほど、ホイケムさんは叫び声もホイなのかと、その印象が強いのです。

 

松平健太の微妙な判定とリオ五輪の石川佳純

 カタールオープン、松平健太戦のエッジorサイドの微妙な判定、というより誤審が話題になっています。勝負を決めた最後の1点だっただけに、これはあまりにも気の毒な、腹立たしい判定としか言いようがない。
 ただ、これで思い出したのはリオ五輪個人戦石川佳純vsキムソンイの試合です。

 あの試合、石川佳純が途中で足を痛め、メディカル・タイムアウトを求めたのに、審判に認められなかったという出来事がありました。

 この審判の判断については、どうこう言っても仕方ありませんが、あの時、海外のメディアの中に「なぜ石川のコーチは一緒に審判と話をしなかったのか。彼は英語ができなかったのだろうか。だとしたら不幸なことだ」という記事がありました。
 選手が足をさすりながら懸命にタイムアウトを求めているのに、なぜコーチは黙って見ていたのか? と、半分怒りを交えたニュアンスだったように読めました(ぼくのア・リトルな英語力なので確かではありません)。なるほど、海外からはそんなふうに見られていたのかと、新鮮に思ったものです。

 今回の松平健太の判定についても、同じことが言えるのかもしれない。
 あの判定の直後、選手自身は必死に抗議をしていました。でも、コーチはどうだったか。ITTFの映像からはコーチの挙動がわかりませんが、少なくとも強く抗議をしたようには見えない。勝負を分ける大事な大事な1点、しかもミスジャッジの可能性がある1点なのに。
 こんな場合に、コーチがどこまで出ていっていいのか、そもそもコーチの抗議が認められるのか、ぼく自身、ルールをよくわかってないのですが、それをさておくと。

 審判の判定を議論する場合、日本側のベンチの問題としてとらえる視点も持つべきではないか。コーチの語学力、もしくはその他の理由を問題にする意見もあっていいのではないか。
 リオデジャネイロで、足をさすりながらタイムアウトを求めた石川佳純の姿を思い出しながら、そんなふうに思いました。

みうみま大波小波の法則

 前々回、カタールオープンを取り上げたのですが、タイミングが早すぎました。丁寧(ディンニン)のエントリー取り消しにより、平野美宇は第8シードに繰り上がり。文章の意味も半分なくなってしまいました。
 これで第5から第7シードのハンインやウーヤン、伊藤美誠と早い段階で当たる可能性はなくなり、良かったのかも知れません。とはいえ、ノーシード組にも王曼昱(ワンマンユ)がいたりして、彼女のほうがよっぽど爆弾じゃないかという気もします。

 それと前々回の平野美宇の記事を書きながら、何か違和感が横切りました。大事なことを忘れているような、ゼッケンを付け忘れたまま試合に出てしまったような違和感。
 忘れ物の正体は、たぶん伊藤美誠です。
 みうみま研究家を自称する身としては、おぼろげな予感がする。順番からいくと、カタールオープンで暴れるのは美誠ちゃんなのではないだろうか、と。

 美宇が活躍すれば、次は美誠。美誠が先へ行けば、美宇が追いかける。ふたりはこうして成長してきました。大きな波と小さな波を繰り返しながら。

 これを「みうみま大波小波(おおなみこなみ)の法則」と呼びます。
 初めてのワールドツアー決勝進出は美宇が先。優勝は美誠が先。
 ブレイクスルースター賞は美誠が先に15年に受賞。美宇は次の年に受賞。
 五輪のメダルを先に取ったのは美誠。でも、ワールドカップの優勝トロフィーは美宇が先。

 伊藤美誠は先日の全日本選手権で、5回戦負けを喫しました。番狂わせと報じられた安藤みなみとの一戦です。
 完全に、相方の平野美宇に話題を独占されて、美誠ちゃんの影が薄くなってしまった。なかには「美宇に置いていかれた」などと、手のひら返すの早すぎな声も聞きました。

 いやいやいや、伊藤美誠を甘く見過ぎでしょう。
 昨年の世界ジュニアで見せた頼もしいほどの強さ。団体戦全勝で金メダルの原動力となった、無敵の神さま感。鋼にコンクリートを混ぜて固めたような、揺るぎないメンタル。
 一家に一台、美誠ちゃんロボットがあれば、たとえ東京湾からシン・ゴジラが襲ってきても美誠パンチで守ってくれそうな、そのくらいの頼もしさを感じたものです。

 そこで全日本で伊藤美誠が負けた試合、安藤みなみ戦をあらためて見返してみました。
 何がいけなかったのか、敗因は何だったのか。ドイツのカットマンじゃありませんよ。それはハンインです。
 当日の印象は、伊藤美誠が攻め急ぎすぎてペースを乱した。そしたら、安藤みなみが美誠の打球に慣れてきて、流れが変わった。そう受け取っていました。「相手が伊藤美誠のボールに慣れてきたのに、圧勝だった第1ゲームのペースに固執して負けてしまった」ことを敗因に挙げた記事もありました。

 しかし、これは違うのではないか。あらためて試合を見た感想は、逆です。安藤がペースに慣れたのではなく、ペースを合わせたのは伊藤美誠のほうだった。

 力の差がありすぎたゆえに第1ゲームを圧勝。これで一時的に集中を失い、第2ゲームの攻め急ぎから流れが変わったのは確かだとしても、その後はむしろ、伊藤美誠が慎重にプレーしていたのが見て取れる。
 この辺はリオ五輪のドイツ戦、大逆転負けの教訓があると思われます。第2ゲームの後半からは、慎重に、慎重にと、自分に言い聞かせるかのようなプレー。
 ところが、これが逆に相手を乗せてしまう。わずかにスローダウンしたプレーが、安藤みなみのリズムに合ってしまった。それまで速さについていけなかった安藤が、慎重になった美誠の打球にはぴったり合った。

 第4ゲーム以降は、伊藤美誠が凡ミスを連発。明らかな焦りが見られました。「なぜこんなに接戦になるの? 気を抜かずに、攻め急がずにプレーしているのに、なぜ1ゲームみたいにうまくいかないの?」という焦りでしょうか。
 第5ゲームはもう集中力がなかった。相手のサーヴを見送るだけでエースを取られるという、ひどい場面もあり、たちまち大差がつく。そこからようやく開き直り、本来のリズムに戻ったと思わせるプレーで追いつきますが、デュースで決めきれず。アンラッキーもあって12-14で落とす。これで実質、ジ・エンド。
 第6ゲームはミスを連発。打っても打っても入らない。自らタイムアウトを取るも、最後は7連続失点で6-11。ゲームオーバーとなりました。

 だから、あの敗戦はむしろ、伊藤美誠の成長を示すものです。いや、さすがにその言い方は無理がありますね。リオ五輪ゾルヤ戦の負け方とは違う。攻め急いだから負けたのではなく、攻め急いだことを反省しすぎてリズムを崩したから負けたのです。

 負けてしまったものは仕方がありません。挽回のチャンスはすぐにやってくる。「みうみま大波小波の法則」によれば、今度は美誠ちゃんの番です。

 世界上位ランカーが勢揃いするカタールオープン(2月21-26日)。中国選手も多数出場するこの大会で輝くのは、伊藤美誠なのではないか。そんな予感がします。

 

全日本卓球決勝の得点パターンとタオルタイム

 平野美宇を特集したNHK「アスリートの魂」を見たら、全日本選手権2017の決勝戦について追記したくなりました。というより、当ブログの第1回にこの試合のスコアを掲載して、その時いろいろとデータ集計をしたのですが、最初から数字の羅列を見せられても困るだろうなと、カットしたものがいくつかあります。今回それを載せてみます。

 まず石川佳純平野美宇の「球数別の得点」です。何球目で得点したか。
短=2球目以内
中=3球目から6球目
長=7球目以上
 こう定義してふたりの総得点を分類すると、次のようになります。

石川佳純 53点(短19 中30 長4)
平野美宇 62点(短19 中35 長8)

 各ゲームごとの推移については、前回の表でもわかりますから、今回は総得点を対象としました。
 2球目以内の得点は19対19で両者互角です。サーブレシーブからいきなり打っていく平野美宇のプレーが話題になりましたが、石川佳純はもともと勝負の早いタイプ。少ない球数の決着では、平野が上回っていたわけではない。
 これが3球目から6球目までの得点になると、30対35で平野が上。
 7球目以上の得点なら、4対8で平野のダブルスコアになります。ラリーが続けば平野美宇の優勢だったことが、数字でもわかります。

 続いて「ゾーン別の得点」です。相手のバックサイド、ミドルサイド、フォアサイド、どこへの打球で得点になったか。相手の立ち位置には関係なく、卓球台のゾーンでバックとミドルとフォアを分類しています。
 このデータは総得点で見るより、ゲームごと、それも各ゲームの前半と後半に分けて集計したほうが面白い。どのゲームも、前半と後半では得点パターンが大きく変わっていたからです。

 どこで前半と後半を区切るかというと
前半…両者の得点合計が12点まで。
後半…それ以降。
 こうしました。じっと表を見るうち、この前後で得点パターンが変わっていることが多いと感じたからです。
 説明するまでもなく、両者合計12点とは2回目のタオルタイムです。このポイントを区切りに得点パターンが変化するというのは、常識なのか、発見なのか、たまたまこの試合がそうだったのか、わかりませんが、よくありそうな現象という気もします。
     
1ゲーム   前半  後半  得点
石川佳純 1-2-2 1-0-0 6
平野美宇 5-1-1 1-2-1 11
2ゲーム
石川佳純   1-2-2 2-2-1 10
平野美宇   2-2-3 3-1-1 12
3ゲーム
石川佳純   2-1-4 2-2-0 11
平野美宇   2-1-1 2-1-0 8
4ゲーム
石川佳純   1-5-1 1-0-1 9
平野美宇   5-0-0 1-4-1 11
5ゲーム
石川佳純   1-0-3 1-3-2 11
平野美宇   3-2-2 0-1-0 9
6ゲーム
石川佳純   0-3-2 0-0-1 6
平野美宇   2-4-1 3-0-1 11
       B-M-F B-M-F

 1-2-2 とは相手のバック1点、ミドル2点、フォア2点という意味です。 B-M-F の順。相手のサーブミスによる得点はどこにも入れてません。
 平野は、第1ゲームの前半、石川のバックサイドに集めて得点を重ね(5-1-1)、後半はミドル中心に変わった(1-2-1)ことが推察できます。これと同じパターンが第4ゲームで、前半はバックに集め(5-0-0)、後半はミドル中心に変わっています(1-4-1)。
 逆にいうと、前半に石川のバックサイドへの打球が得点になったゲームは平野が取り、それが決まらなかった時は平野が苦戦している。

 一方の石川は、第1、第2ゲームを続けて落とした後、攻撃パターンを変え、3ゲームの前半では平野のフォアサイドを攻めています(2-1-4)。そして後半は一転、フォアサイドの得点なし(2-2-0)で、このゲームを奪取。平野が対応して、後半はフォアサイドが得点にならなくなったという面もあるでしょう。
 同じパターンは第5ゲームにも見られます。前半はフォアサイドの得点が多く(1-0-3)、後半はミドルの得点が多い(1-3-2)。石川が取った第2、第5ゲームは、どちらも前半のフォア攻めと、後半のミドル攻めが決まったセットとわかります。

   こんな話を今さら書いたところで、誰が興味を持つのか、誰も読んでないのではないかと不安になってきました。
 ぼく的には、両者の得点合計が12点、2回目のタオルタイムを境に得点パターンが変わるらしいと、わかっただけで収穫でした。今後の試合観戦はこのポイントに注目したいと思います。

 

第9シード平野美宇という爆弾inカタール

 水谷隼石川佳純平野美宇、伊藤美誠らが出場する卓球のカタールオープン(2月21-26日)がすごいメンバーですね。世界ランカー上位がほぼ勢揃いして、女子なら世界ランク16位の浜本由惟や19位の早田ひなが予選から出場しなくてはいけないという超ハイレベル。
 シードは16人。残りの選手(女子は約60人、男子は100人以上?)が予選リーグを戦い、16人が本戦に進出。計32人がトーナメントを戦います。

*女子シード選手*
1 DING Ning 丁寧
2 ZHU Yuling 朱雨玲
3 ISHIKAWA Kasumi 石川佳純
4 FENG Tianwei 馮天薇
5 CHENG I-Ching 鄭怡静
6 HAN Ying ハンイン
7 ITO Mima 伊藤美誠
8 WU Yang ウーヤン
9 HIRANO Miu 平野美宇
10 CHEN Meng 陳夢
11 HU Melek フ・メレク
12 TIE Yana 帖雅娜
13 JEON Jihee 田志希
14 DOO Hoi Kem 杜凱栞
15 SOLJA Petrissa ゾルヤ
16 SATO Hitomi 佐藤瞳

 最大の注目は平野美宇でしょう。全日本で見せたあの強さが今年はITTFツアーでも発揮されるのか。「中国人を倒したい」が実現するのか。
 優勝した昨年のワールドカップは中国選手が不参加だった。グランドファイナルは美宇ちゃんの調子が良くなかった。適度な日程で中国トップや世界トップと戦うのは、平野美宇覚醒後、初めてと思われます。

 カタールオープンのシード順を見ると、平野美宇は第9シードにいます。シードというのは8番目と9番目では大違い。第9シードの選手は2回戦(ベスト16)で早くも、自分より上位シードの選手と当たる確率が高い。
 ワールドカップと全日本のチャンピオン。対戦相手から見れば、本来はラスボスの位置に登場してもおかしくないモンスターが序盤のダンジョンで出て来るみたいなもので、ドローに仕掛けられる爆弾です。
 まあ、16シード以内の選手は全員実力者ですから、美宇ちゃんだけを爆弾扱いするのは「盛りすぎ」かも知れませんが、このところの快進撃はまさにブレイクスルー・スター&ブレイク・ストロング賞。上位シード選手との直近の対戦結果を並べてみました。漢字表記とカタカナ表記は気にしないでください。

平野美宇vs.上位シード選手、直近の試合】
1 丁寧……超級で0-3の完敗。
2 朱雨玲……超級で2-3の惜敗。
石川佳純……全日本決勝で4-2の勝利。
4 馮天薇……W杯とグランドファイナルで大接戦の2連勝。
5 鄭怡静……W杯決勝で4-0の完勝。
6 ハンイン……グランドファイナルで0-4の完敗。
7 伊藤美誠……国内試合を含めて16年1月から4連勝。
8 ウーヤン……対戦なし

 世界ランク3位の石川に勝利。4位のフォンに2連勝。5位のチャンに完勝。7位の美誠ちゃんに4連勝。この辺には負け知らず。
 世界1位の丁寧と6位のハンインには完敗も、2位の朱雨玲とは超級でフルゲーム。
 最近の結果だけを見るなら、現在の平野美宇の実力はこの中でも2、3番めを争う位置ではないかと推察できます。

 それとも、やっぱり盛りすぎなのかな。2回戦でハンインやウーヤンに当たったら、現実の厳しさを思い知らされそうな怖さもあります。
 シード選手が順当に1回戦を勝つとしたら、望みどおり平野美宇が2回戦で中国選手とぶつかる確率は8分の3。「中国人」とぶつかる確率なら8分の6もある。 

 さあ、次は中東カタールの地で、進化を遂げたスーパーサイヤ平野美宇の戦闘力を見せてもらいましょう。

平野美宇vs石川佳純「2球目の攻防」

 こんにちは、ピンポン二郎です。卓球ブログを始めました。全日本選手権を観戦するうちに、じっとして居られなくなり、衝動に身を任せてみようと思い立ちました。
 どの程度の更新ができるか不安ですが、ゆるーい感じに続けられればいいなと思います。

 第1回は、女子シングルスの決勝、石川佳純平野美宇戦のスコア表を作ってみました。というのも、この試合のポイントは「2球目の攻防」にあったと思うからです。
 石川の出鼻をくじくかのような、平野の2球目フォア・フリック。これに対抗するかのように、試合中盤から飛び出した石川の2球目攻撃。それでも止まらない平野の2球目フリック・スマッシュ。
 この「2球目の攻防」を検証したい、名勝負を記録したいという欲求から、こんな表ができあがりました。

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 表が大きすぎましたね。スマホの人には見えないのかな。
 作るのが大変そうに見えるかもしれませんが、たいしたことありません。美宇ちゃんのヘソがちらっと見えたりすると、そっちに目が行ってしまい、何球目だったか数え損なったりしますが、試合の映像を2回も見れば作れます。


 第1ゲームを例に、表の見方を説明します。

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*スコアの見方*
・何球目で得点になったか……平野美宇の欄に、4-2-5-3とあるのは、1点目は4球目、2点目は2球目、3点目は5球目で決まり、得点になったことを表します。
 これが奇数ならサーブ側の得点、偶数ならレシーブ側の得点。「0」は相手のサーブミスによる得点です。5球目がアウトになれば、それは4球目の得点です。

・得点経過……どういう順番で得点が入ったか。平野4253の右上に「石川 1」とあるのは、平野が4点連続で先取した後、石川佳純が1点目を1球目で得点したことを表します。
 次の「平野6」は平野が得点(6球目)、次の「石川4」は石川が得点(4球目)したとわかります。「TO」はタイムアウトです。

・得点が決まった打球の方向……Fはフォア、Mはミドル、Bはバックです。平野に「B」が並んでいるのは、石川のバック側への打球で得点が決まったことを表します。
 相手選手の立ち位置は関係なく、卓球台におけるフォアサイド、ミドルサイド、バックサイドを、目測で判定しています。そのため、ミドルかフォアか微妙な打球もありますが、その辺は適当です。相手選手が右利きか左利きかによって、FMBは反対になります。


 やっと本題に入れます。
 この試合では平野美宇の、向かっていく卓球が話題を集めました。2015年11月のコーチ交代以来、急速に進化した「攻撃卓球」の完成形が今回の全日本で示され、その攻撃卓球の象徴的なプレーとして「2球目の強打」が注目された。
 序盤でいうと、1ゲームの平野の2点目、2ゲームの平野の5点目と10点目が、2球目攻撃の得点です。1ゲームの石川の1点目、2ゲームの石川の5点目の「1」は、平野の2球目攻撃のミスによる得点です。
 これほど積極的に、石川のサーブを強打していったわけです。

 ところが思い起こしてみると、平野美宇は全日本の大会を通じて、2球目攻撃を多用していたわけではありません。
 ぼくは平野美宇の試合を4回戦から見ていますが、石川佳純よりずっと甘いサーブを繰り出す対戦相手もいたのに、決勝ほどは打ってなかった。
 そうだとするならば、あの2球目攻撃は「平野美宇の攻撃卓球の象徴」というよりも、「石川佳純戦のために準備された戦術」として、とらえるべきではないか。これがぼくの意見です。

 石川佳純といえば、必殺の攻撃パターンは3球目攻撃です。昨年、2016年の全日本選手権でも両者は決勝を戦い、第1ゲームの1点目から、いきなり石川の3球目攻撃が炸裂しました。ビッグゲームになるほど、石川は序盤から3球目攻撃で先手を取ってきます。
(ここでいう3球目攻撃は、フォアハンドの強打を指すことにします。バックハンドで打っても3球目攻撃かもしれませんが、石川の代名詞はフォアハンドの3球目攻撃でしょう)

 では、その石川佳純の3球目攻撃への対策はどうするか。昨年の二の舞を演じないためにはどうすればいいか。
 シンプルな対策があります。2球目を打ってしまえばいい。先に2球目を打って出れば、3球目攻撃を防ぐ守りにもなります。
 攻撃は最大の防御なり。平野美宇がやったのは、これではないでしょうか。

 スコアを見てください。第1ゲーム前半の平野の得点には「B」が並び、石川のバック側に集中的に球を集めたことがわかります。これも石川にフォアハンドを強打させないための対策と見ていいでしょう。こうして平野は序盤を5-1でリードします。
 ここから石川が反撃を開始。1点差まで追いつきますが、そうすると今度は平野の得点に「F」が出てきます。卓球台の対角線を切るような、平野のバックサイドから石川のフォアサイドへの鋭角的なバッククロス・ドライブ!

 スコア表を作って気付いたのは、どのゲームも前半と後半で得点パターンがガラリと変わることです。
 第1ゲームのように、前半は平野の得点にBが並べば、後半はFかM。
 第2ゲームのように、前半に長いラリーの平野の得点が続けば、後半の平野の得点はほとんど3球目以内、というふうに。

 この調子で1ゲームずつ試合を追っていくと、長くなりすぎて促進ルールを宣告されそうなので、あとは「2球目」だけに絞って見ていきます。
 背筋がゾクゾクしたのは第5ゲームの攻防です。平野の3点目は、2球目攻撃からの4球目。8点目も2球目攻撃のフリック。その返球の鋭さに石川が苦笑いを浮かべ、平野が8-2と大きくリードした場面です。
 ところが開き直った石川が、ここから一気に流れを変えます。圧巻は7点目、回り込んだフォアハンド・スマッシュの2球目攻撃。続く8点目も2球目攻撃。
「そっちが2球目から打ってくるなら、こっちもお返しよ!」と言わんばかりの連続レシーブエース。「私は全農のお米を毎日食べてるんだからね!」と、スポンサーも納得させます。

 これで第5ゲームを奪い返した石川は、第6ゲームでも平野のサーブを狙っていきます。石川の3点目と6点目が、回り込んだフォアハンドの2球目攻撃です。
 しかし、この意地の6点目のショットが、旧女王の最後の得点でした。平野が8-6とリードした場面での石川のサーブ。これを平野が2球目で強打して9-6。この試合を象徴するような、とどめの一撃になりました。

 少々、強引に結論をまとめるなら、平野美宇の勝因は2球目攻撃を多用して、石川佳純の3球目攻撃を封じたことにある、と。
 石川佳純がこの決勝戦で決めた「フォアハンドの3球目攻撃」の得点は、合計2点でした。石川の53得点のうち、たったの2点……。第2ゲームの2点目と、第5ゲームの1点目だけです。

 記録がないのでわかりませんが、石川佳純が必殺技の「フォアハンド3球目攻撃」で1試合に2点しか取れなかったのは、かなりレアな出来事のはずです。
 平野美宇に圧倒された得点経過もさることながら、この内容も大事件だったのではないでしょうか。