香港オープンを終えて美宇美誠に大きな収穫
6月9日の日曜日。伊藤美誠の香港オープン決勝戦は、ワン・イーディに0-4のストレート負け。この敗戦に全身の力が抜けて、寝落ちしてしまい、張本智和くんの決勝戦は見逃した。
ぼくは睡眠障害を持っていて、今は一時期ほどひどい症状ではなくなったが、毎年、梅雨どきには睡眠を自分でコントロールできなくなる。過眠症というやつだ。
ひたすら眠くて眠くて起きていられない日もあれば、感情がマイナス方向へ動くことによって、眠りの沼へ落ちてしまう日もある。蟻地獄にとらえられた小さなアリのように、あがいても抗えず、強制的に眠りの沼へ引きずり込まれる。
昨日はこれだった。不安定な気圧と、みうみまの試合結果が、時々ぼくの体内時計をおかしくする。
なんてことを白状すると、うわー、やべえメンヘラーだ、触らないほうがいい犯罪者予備軍だー、という反応が返ってくるのだろうか。普段は正常な、ただの卓球好きなんだけど。
香港オープンについて、振り返ってみよう。
●6月7日、平野美宇4-1フォン・ティエンウェイ。
シンガポールのエースを下して準決勝、進出! 最後のスーパーラリーの1点は、平野美宇の成長が凝縮されたような得点だった。フィジカルの鍛錬によって軸がブレなくなり、身体の向きは一定のまま、フォアの強打を腰のひねりで左右に打ち分けているため、相手は打球方向がわからない。
途中、フォンさんがサーブの回転を変えてきて(横回転中心から下回転を混ぜてきた?)とまどう場面もあったが、辛抱強く粘って平静を取り戻した。
●6月8日、伊藤美誠4-2平野美宇。
伊藤美誠vs平野美宇の準決勝は、ふたりの対戦でこんなストップやツッツキの応酬は初めて見たぞという台上の駆け引きと、サーブ&レシーブ合戦が勝敗を分けた試合だった。でも、スポーツニュースのダイジェスト映像では、それほど多くなかったラリーが取り上げられてしまうという、そこじゃない感もあり。
美宇ちゃんは高速卓球を封印して戦い、というより美誠ちゃんが相手の持ち味を封じた戦いに持っていこうとしたことに敢えて逆らわず、〝ニュー・ヒラノの粘り強い卓球〟をやってみせた。これが今大会を通じて目立った平野美宇の新しい一面だ。
セットカウント0-3になった後、美宇ちゃんの開き直りでハリケーンの扉が半分開き、2-3まで巻き返したが、そこでまた美誠ちゃんが多彩なサーブを駆使して扉を閉め、2-4で締めくくった。そんな試合だった。
●2019香港オープン結果
1回戦
平野美宇4-1マテロバ・ハナ(チェコ)
伊藤美誠4-0ユ・モンユ(シンガポール)
2回戦
平野美宇4-0フォン・ヤーラン(中国)
伊藤美誠4-0スン・ミンギャン(中国)
3回戦
平野美宇4-1フォン・ティエンウェイ(シンガポール)
伊藤美誠4-1ポルカノバ・ソフィア(オーストリア)